下大静脈フィルター以下に広範な静脈血栓症を併発したへパリン起因性血小板咸少症(HIT) II型の1例

摘要

へパリン起因性血小板減少症（HIT)は免疫系を介さず，へパリン使用後1-4日後に25%までの頻度で出現する一過性で良好な経過をとるI型と免疫系を介し，へパリン使用後通常5-14日後に出現し，血栓形成による重篤な病態を招く可能性のあるII型に大別されるが，HIT II型は術中や周術期のへパリン投与後に生じることが最も多く，その頻度は0.1-5%と報告されまれである。今回我々は骨盤部手術後に肺血栓症と下肢静脈（IVC)血栓症が出現し，血栓溶解療法，抗凝固療法開始後にIVCフィルター以下に広範な静脈血栓症を併発したHIT IIの1例を経験したので報告する。