特定行為研修を修了した看護師による教材の評価 —気管カニューレ交換に焦点をあてて一

摘要

2025年に向けて在宅医療等の推進を図るために医師又は歯科医師の判断を待たずに，手順書に基づき，一定 の診療の補助を行う看護師を養成し確保していくため，保健師助産師看護師法37条の改訂とともに，その診療 の補助行為を38の特定行為と定め，平成27年10月より特定行為研修制度が開始された.A研修機関では平成 29年3月までに本科目の修了生を10名輩出している.気管力ニューレ交換は，時に対象者の呼吸状態に大きな 苦痛や侵襲をもたらす技術であり，より安全な技術提供が望まれる.本研究の目的は，A研修機関で実施さ れている気管力ニューレ交換に係る教材について，研修を修了した看護師の評価をもとに教材の改善点につい て検討することである.方法は.A研修機関で特定行為気管力ニューレの交換についてのコースを修了した 看護師を対象に実践の状況および教材についての意見をインタビューした.その内容より教材の改善点を検討 した.対象となった看護師は7名であった.7名の全員が医師の指導を受け，看護師単独での実施の場合も事 故なく実施されていた.教材に追加されるとよい情報は，1)気管力ニューレ抜去時に感じる抵抗，2)気管 力ニューレ揷入時に感じる抵抗，3)気管孔に兗生した肉芽の視覚的情報，4)気管孔の状態と術式との関連， 5)気管力ニューレの種類と用途に関する詳細，6)人工呼吸器装着患者の気管力ニューレ交換の手順，7) 気管力ニューレ交換時のフランジの固定手技，8)力ニューレを固定する紐の結び方，9)スタンダードプリ コーションの重要性であつた.