工場環境における920MHz帯無線通信機器の通信特性·相互干渉実験評価

摘要

近年、工場環境における無線通信の利活用に注目が集まっている。しかし、工場環境で無線通信を利用する際、異種規格無線通信機器の共存に伴う相互干渉や工場に特有の伝搬環境による通信特性の劣化が問題となる。そこで、本稿では920MHz帯無線通信規格であるWi-SUNとLoRaに注目し、Wi-SUNとLoRaが混在する環境において同時送信及びスペクトル重複に伴う相互干渉の可能性について実験検証を行う。実験では、LoRaとWi-SUNのスペクトルが部分的に重複する環境で、LoRaの送信電力、使用チャネルを変化させた際のWi-SUNとLoRaのパケット到達率を評価する。さらに、工作機械及び金属製の製品が多数存在し、尚且つ巨大クレーンが移動する工場環境において、Wi-SUNとLoRaの通信特性について実験評価を行う。実験では、Wi-SUNとLoRa間の相互干渉が発生しないようにチャネルを割り当て、Wi-SUNの送信電力、送受信機間距離及びLoRaの送受信機間距離を変化させた際のWi-SUNとLoRaのパケット到達率を評価する。そして、工場環境が無線通信に与える影響を考慮したWi-SUNとLoRaの併用可能パラメータについて言及する。