中東最前線 29 暗躍する北朝鮮コネクション

摘要

北朝鮮が一転して融和姿勢を見せ、米朝首脳会談が行われる見通しとなった。積年の経済制裁や軍事攻撃も排除しない米トランプ政権の強硬な外交が奏功した可能性もあるが、北朝鮮側の呼び掛けで始まる交渉が北朝鮮ペースで進む懸念もある。瀬戸際外交や核合意破棄など数々の「前科」がある北朝鮮。最近、大量破壊兵器の拡散など中東で闇商人として暗躍している実態が改めて浮き彫りになっている。シリアのアサド政権は二〇一三年九月、化学兵器禁止機関（OPCW）に保有化学兵器約二二〇〇トンの全量引き渡しに応じ、化学兵器を全廃したはずだった。ところが、一七年四月、反体制派支配地域の北部イドリブ県バンシャイフンで、航空機でサリンを積hだ爆弾を投下したとみられ、住民ら八〇人以上が死亡した。トランプ政権は事件を受け、化学兵器が貯蔵されていたとされるシリアの空軍基地を爆撃した。OPCWもこの攻撃で使われたのが猛毒のサリンかサリンに似た物質だったと発表している。