近年の医療機器の動向と電気設備 6：医療機器の接地システム

摘要

近年，医療技術の高度化に伴い，様々な医療機器（本稿ではME機器と称する）が普及し，高度医療ツールとして使われてきている。 これらのME機器の安全確保は医療従事者の最大の関心事であり，そのため，病院電気設備は安全のための環境を整備する必要がある。ME機器には，X線装置，MRI装置のような大型なものから，医用電子機器などの小型のものまで多種多様にある。 これらの機器の絶縁が劣化した場合，感電死（医療分野ではマクロショックと称す）する危険性がある。 さらに，心臓外科手術においてカテーテルを体内に挿入，接触する場合，微少な電流（μAのオーダ）で心室細動が発生して感電死（ミクロショックと称す）する危険性もある。 これらの感電を防止するためには接地，等電位ボンディングという対策を施す必要がある。