地下空間の照明環境～サーカディアンリズムの観点から

摘要

地下空間の一つの特徴として，「自然光を享受しにくい」ということが挙げられる。視認性は現代の人工照明であれば十分にカバーされていると考えられるが，体内時計や生体リズムといった生理的要因に対してはどうであろうか？自然光による環境の明暗サイクルを一つの手掛りとして，サーカディアンリズムと呼ばれる約1日周期の生体リズムは調整される。光とサーカディアンリズムの関係究明において，その起源ともいえる実験は，実は地下空間にて実施されている。そこで本稿では，光とサーカディアンリズムの関係について概説し，上記のような問題に配慮した地下空間における照明空間のあり方について述べる。