エンジン潤滑油の基礎第5回：性能分類と規格動向

摘要

本稿では，連載講座「エンジン潤滑油の基礎知識」の第5回として，自動車用潤滑油（以降，エンジン油と呼ぶ）の性能分類と規格動向について解説する。 近年，世界的に環境問題に注目が集まる中，自動車にも省燃費，排出ガス中のNO{sub}x，PM低減などの技術が広く用いられるようになり，エンジン部品の一部としてのエンジン油にもその一翼を担うべく様々な性能が要求されている。 当然ながらこれらは最近の規格の動向にも反映されている。エンジン油の規格としては，各地域で，各業界団体（API，ACEAなど）が定める規格や，地域を越えて制定される国際規格（ILSAC規格等），自動車会社が独自に設定するもの，または国が定めるものがある（表1）。 本稿では，日本，北米，ヨーロッパに焦点を当て，特に最も一般的な業界団体による規格の内容及び動向について解説する。