C重油の燃焼と排ガス規制対策

摘要

C重油は国内の石油火力（ボイラ）や自家発電の中速ディーゼル機関でも使用されるが，この場合は供給元が決まっていてある程度の品質は保証される。 しかし世界のどこでも給油する外航船舶では，品質はよく分からないままに買わざるを得ない。 前述のように舶用C重油のことをバンカー油とも言うが，バンカー油は石油精製の先進国（例えばアメリカ）で買うほど品質が悪いという奇妙な商品でもある。 ここで舶用機関の排ガス規制に話を転じる。 まずは，船からの排気が全大気汚染に及ぼす割合を知りたいところである。 （財）日本船舶技術研究協会が2005年度に行った「船舶の大気汚染防止基準の作成に関する調査研究」（RR/MP3，日本財団助成）では，船舶からのNO{sub}x排出量は国内総量の約30％，SO{sub}xで25％という数字が示されている。 またMAN B&W社の調査では，全世界の化石燃料の燃焼によるNO{sub}xの17％を船舶が排出している。