次世代型CIS太陽電池

摘要

CIS太陽電池は、「原料から製品まで」の一貫生産が可能で、製造工程数と使用原料が少ないことから大幅な低コスト化が可能である上に、p形CIS系光吸収層の材料特性から変換効率向上の可能性が高く、2030年時点で結晶系Si太陽電池と競合できる性能レベルを期待されている。 現状の変換効率レベルは、図6に示すように、1cm{sup}2以下の小面積単セルでは20％を達成できるレベルにあるが、3,600cm{sup}2サイズ以上の集積型の大面積では14％台が見えて来ているが、小面積との間でまだ6％の差がある。 従って、次世代型CIS太陽電池が中心となって、結晶系Si太陽電池と性能面で真に競合できる太陽電池として「薄膜太陽電池の時代」を到来させるためには、この小面積での技術レベルを集積型の大面積で実現する技術開発ルートを迅速に開拓することとCIS太陽電池製造プロセスに適した大面積·量産化技術の開発が必要である。 本格的な製造段階へ移行するためには、まず数十MW規模での製造技術の検証が必要であり、この段階をいかに短期間で通過するかが課題である。 同時に、結晶系Si太陽電池と競合できる性能レベル（あるいは、表1に示した「2030年に向けた太陽光発電ロードマップ」で期待される性能レベル）をこの段階で達成することも課題である。