経済合理的に再生可能エネルギーから水素をつくる: 蓄電池vs水素から蓄電池×水素へ

摘要

2011年3月の福島第一原子力発電所における重大事故により、原子力発電を地球温暖化対策や安全保障上の主要な選択肢として位置づけることは難しくなった。2012年7月より施行された再生可能エネルギー固定価格買取制度により、特に太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの導入が大幅に加速された。結果、2014年にはいわゆる九電ショックと呼ばれる系統接続保留問題が顕在化した。2018年10月からは、電力需要の少ない週末に再生可能エネルギーからの発電を停止または減らす出力制御が島しょ部を除いて初めて実施され、2019年3月には平日にも実施されるようになった。2016年に閣議決定された地球温暖化対策計画では、2050年までの温室効果ガス（GHG）80%削減を長期目標としており、2018年の第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化がうたわれている。