商用Androidソフトウェア開発環境におけるコードレビュー統計の実証的研究

摘要

コードレビューシステムGerritの普及により様々なオープンソースプロジェクトはコードレビューの場をWebに移してきた．Gerritはレビューやコード改編の記録をアクセスできる形で残すため，その情報を利用したソフトウェア不具合の研究が近年多くなっている．オープンソースデータを使った研究によると，開発履歴から得られるメトリクスで将来の不具合の発生箇所をある程度説明できることがわかっている．本研究では商用Androidソフトウェア開発履歴データを用いて過去の研究結果との比較を行った．既存研究で提案されるメトリクスのうち，オンライン上の議論に関するメトリクスは将来の不具合の数を高い精度で説明することができなかった（p≈0.19）．一方，開発プロセスの違い，特にオフライン上での議論の存在，を考慮したメトリクスはp≦10~(-4)という高い信頼性で不具合数を関係づけることができた．