重複構造を有するコミュニティ抽出の統計力学的解析

摘要

従来のコミュニティ抽出手法の多くは，リンク密度に基づいてネットワークを静的に分割する．しかしながら，ネットワーク内には，様々なコミュニティが存在し，ある一つのノードは，複数のコミュニティに属することが一般的であると考えられる．本研究では，事前に用意した重複を許した複数のコミュニティ（パターン）に従って確率的にスパースなネットワークを生成させる．そして，コミュニティ抽出問題を，ネットワークリンクを強磁性相互作用としたエネルギー関数の最小化問題であるとみなし，ネットワークから埋め込まれたコミュニティを表わすパターンが分離できる条件を，統計力学的な手法の一つであるレプリカ法を用いて解析した．