ガラスコーティング剤の性能試験

摘要

近年は，建物外皮の断熱性能が強化されつつあるが，夏季冷房時の省エネの観点から，開口部の日射遮蔽は温暖地における重要な課題の1つである。 一般に，開口部に用いられるフロート板ガラスは，透過性が高いため，日射熱を室内に侵入させてしまう。これに対して，Low-eガラスに代表される表面に特殊加工を施したガラスは，熱反射性が高く,冬季及び夏季の断熱，遮熱に効果を発揮するが，皮膜の酸化を避けるため複層ガラスとして用いるのが一般的であり，既築建物への利用はサッシの改修工事が伴う可能性を学hでいる。 今回紹介したコーティング剤は改修工事を行わず，ガラス面に塗布するだけで利用できることが特徴である。日射の透過·反射性に対する試験は，分光光度計により50×50mm程度の大きさを持つ試料の可視光線,日射の放射束に対する性能を測定するものである。 試験方法はJIS R 3106（板ガラス類の透過率·反射率·放射率·日射熱取得率の試験方法）に明記されており，波長範囲が380nm～780nmを可視光，300nm～2500nmを日射の波長域と定義している。 分光光度計は，化学分析用に各メーカーから市販されているが，分光特性の測定では，光路に何も設置されていない状態をブランクとしている。 当センターで使用している分光光度計は，積分球を備えているため，反射率測定の際に正反射だけでなく拡散反射も含hだ測定をすることができる。 その場合，日射波長域の反射特性が高いと言われている，硫酸バリウムを反射標準として用いている。