「建設業の人手不足（建設投資と建設業就業者数の動向）」

摘要

20年間右肩下がりの減少が続いた建設投資は，2010年度を底に増加に転じた。今後も被災地の復興，橋梁·トンネル等のインフラ維持更新等で公共工事は堅調に推移すると予想され，民間建設投資も増加が期待されるほか，2020年のオリンピックの東京招致成功により長期的視野が開けたことも建設業の景況感にプラスに作用している。しかし，建設投資が急増したことから，技能労働者不足が顕在化している。そこで最新の2010年国勢調査を使って将来の建設業就業者数を推計したところ，今後団塊世代の引退が進むことにより，かなり楽観的な仮定をしても減少が予想されることが分かった。つまり，建設業の人手不足は，一時的現象ではなく，震災復興，オリンピックの先も続く構造的問題だということである。