ステンレス鋼管における水蒸気酸化スケールの生成剝離挙動

摘要

オーステナイト系ステンレス鋼SUS 321 HTBを供試材として, 水蒸気酸化スケールの生成および剝離挙動に関する実験的検討を行い，以下の結論を得た。 （1）冷却過程においてマクロなスケール剝離を生じていない場合でも，外層スケールの浮きなどのミクロなスケール剝離が多数観察された。 このことから，マクロなスケール剝離はミクロな剝離の進展や合体により発生するものと考えられる。 （2）ミクロなスケール剝離率（外層スケール断面剝離率）は，加熱温度や加熱冷却の繰り返しには影響されず，内層スケール厚さとの間に良好な相関を示した。 （3）マクロなスケール剝離量は内層スケール厚さだけでは評価でざず, 加熱温濠や加熱冷却の繰り返しの影響を強く受ける傾向を示した。