通信機械室内及びその屋外における銅の腐食

摘要

通信機械室内に暴露した銅板上の硫黄量及び塩素量は屋外と比較して1～2桁低く，ほとhどの場所で検出限界以下であった。東京及び埼玉（都市部）屋外に暴露した銅板上の硫黄量及び塩素量は季節変動を示し，硫黄については微小粒子中の硫酸イオンの影響を，塩素については海塩粒子の影響を受けているものと考えられた。 屋外暴露により鋼板上に生成した腐食生成物についてXRDによる結晶構造解析を行った。 都市部（5か所）及び田園地域（2か所）において夏季に暴露した銅板上には銅以外に亜酸化銅及び塩基性硫酸銅の水和物であるポスンジャカイトが検出された。一方，冬季暴露鋼板上には亜酸化銅のみが検出され，そのピーク強度も夏季と比較して弱いものであった。 また，ポスンジャカイトは銅板上の硫黄量が0．4μg／cm~2以上の場合に形成されることを明らかにした。一方，温泉地域において暴露した鋼板上で銅以外に検出されたのは亜酸化銅のみであった。 都市部及び田園地域におけるボスンジャカイトの生成は粒子状硫酸イオン（硫酸アンモニウム及び硫酸水素アンモニウム）に起因すると考えられた。