地熱水から回収したシリカの高強度セメント用混和材適用評価試験

摘要

澄川地熱水に3種類の含窒素カチオン系化合物を，連続添加した試験で得られたシリカスラリーの高強度コンクリート用混和材への適用性評価を行った。その結果以下の結論が得られた。 （1）シリカ回収試験で得られた回収シリカスラリーの噴霧乾燥造粒試験を行った結果,10m1以下の球状微粒子粉末の製作に成功したが，ほとhどすべての試料の表面に凹凸のある粒子が認められた。 これは，モルタルの流動性が低くなり最終的には圧縮強度が弱くなることが予想された。 そこで，噴霧乾燥造粒物をより緻密にするために900°Cで焼成した結果，粒子表面の凹凸が消失し平滑になることがわかった。 （2）噴霧乾燥造粒物およびその焼成物の粒度分布を測定した結果，一次粒子については市販シリカヒエームとほぼ同じ粒径および分布を示したが，二次凝集粒子および三次凝集粒子のような粗大凝集粒子が存在した。 このため,焼成後の凝集体の解砕条件などを考慮する必要がある。 （3）回収シリカスラリー，噴霧乾燥造粒物およびその焼成物の化学組成を分析した結鼠SiO_2含有量については市販シリカヒエームよりも高いものが認められた。 また，、コンクリート中の鉄筋をさびやすくし，アルカリ骨材反応を助長する塩化物は，回収シリカスラリーを蒸留水で洗浄するとほとhど検知されず，焼成により分解することがわかった。 （4）ゼータ電位は噴霧乾燥造粒工程だけでは正の電位であるが）焼成することにより負の電位を待った。 このように焼成することく呉り表面電位状態が変化することは，今後の地熱水からの回収シリカの素材開発に役立つものと期待される。 （5）フレッシュ性状については，空気量が少ないほどフローが出やすい傾向が認められる。 流動性仁施工性）はシリカヒエームセメントより低い。