DSCにおける多孔質アナタース型酸化チタン電極の開発

摘要

近年、太陽電池は無限に存在する太陽エネルギーを直接的に電気エネルギーに変換でき、環境に対して負荷の大きい排出物が生成しない点から、環境配慮型エネルギーという点で注目されている。その中でも色素増感型太陽電池（DSC）は軽量で、Si型太陽電池より大幅なコストダウンが期待できる。一般的に、酸化チタン層はアナターゼ型酸化チタンであり、光触媒活性、安定性、持続性、無害性などに優れている。本来、酸化チタンは粉末状で得られるため、従来のDSCではガラス板上に固定化が行われているので耐久性が低いという問題点がある。一方、軽量かつ剛性に優れ、熱的、化学的に安定であり耐食性に優れているチタンの基板上に酸性溶液中で火花放電を伴うアノード酸化処理を行うことで、アナターゼ型酸化チタンの単一皮膜の作製が可能である。そこで、チタン粉末をガラス板に塗布した従来のDSCよりも耐久、安定性のあるDSCを作製するため、本研究では、チタンアノード酸化皮膜を用いたDSCを作製し、DSCの光変換効率の向上について検討した。