創造的化学教育者山岡望の著作に学ぶI

摘要

山岡望（1892-1978）は1977年に日本化学会から第1回化学教育賞を受賞した．その受賞理由として，「創造的化学教育への比類なき貢献」と並hで，「多年にわたる化学史研究と著作を通じての化学教育界への寄与」が挙げられている．彼については『山岡望伝』を含む評伝や論評もあるが，本稿および予定している続稿では，彼の第六高等学校最後の弟子であり，その後も長らく彼と接した筆者として，化学史関係以外のもの若干を含む彼の著作·著書20数編に関する解析結果や執筆の背景などを紹介し，論考を加えることとする．概ね著作の年代順に取り上げるうち，本稿で述べるものを表1に示す．