WTO加盟を急ぐ意味はあるのか？

摘要

ロシアは、長年にわたる世界貿易機関（WTO）への加盟交渉の最終段階に入っている。 加盟のためすでに148カ国の参加国の合意を得た。 WTO作業グループの58カ国と必要な交渉を行ない、米国を除くすべての国との交渉を終えた。 そして本年末までにはこの組織に加盟できる可能性がある。 かくして、ロシアのリベルアル派の夢である加盟が実現しつつある。 この際、加盟を祝して「乾杯」と書きたいところだ。しかし、加盟というゴールが近くなればなるほど、ゴールが鮮明になればなるほど、ロシア社会では加盟に反対の声も大になり数も増えている。 ロシア正教会ですら、なぜWTOが必要なのかという質問を投げかけている。 懐疑派の大多数は、「すべてうまく行く」というグレフ経済発展貿易相の言葉を疑っているし、「加盟すればロシアが立派な国と見なされる」という彼の考えも説得力があるとは思っていない。 加盟した場合、どのような結果が国と国民を待ち受けているのかを、知りたいのである。 しかし、経済発展貿易省によってWTO加盟の地域への影響の調査が開始されたものの、その調査は加盟時期までには終了しないだろう。 さらに、経済発展貿易省は、昨年になってやっと、ロシア経済の最もセンシティブな部門にとっての加盟の影響はいなかるものかについて、研究の募集を表明したのである。