アルミナセメントの水和反応に関する研究

摘要

今回, 高Al_2O_3タイプの市販アルミナセメントを用い, ペースト，モルタル及びキャスタブルによる水和発熱挙動及び水和物を調査した結果，以下のことが確認された。 1）ペースト, モルタル及びキャスタブルでの水和発熱挙動は各々異なっており, 水/セメント比及び養生温度の影響を受けることが確認された。 養生温度の影響度は使用する配合系によって異なる挙動を示すため, 実際に使用するキャスタブル配合にて，その温度依存性を調査し, 把握しておくことが施工体の品質安定化には重要である。 2）添加剤を含有したアルミナセメントでは，養生温度によってペーストでの水和発熱曲線が二段ピークとなる場合が確認されたが, モルタル及びキャスタブルでは二段ピークが消失し, 一段ピークを示した。 耐火物分野で使用する場合，アルミナセメント単独のペーストで使用することは少なく, モルタルやキャスタブル配合で使用されるため，ペーストでの二段ピークの発生有無は問題にならないものと考えられる。 なお, 二段ピークの発生原因についてAH_3の生成が関与しているものと考えられるがメカニズムについては今後の課題である。 3）市販アルミナセメントA, B, Cにて水和発熱パターンが異なっており，水和物の生成割合も多少の相違が確認された。 キャスタブル配合によっては耐爆裂性や強度発現性が異なるためアキャスタブルの要求特性に応じてアルミナセメントの種類を選択することが重要であり, 添加剤の相性にも注意が必要である。 今後, 高Al_2O_3タイプのアルミナセメントを使用したキャスタブルの配合は複雑化するものと考えられ，安定した施工品質や高耐久性を確保する点から, 水和発熱挙動を明らかにすることが重要な課題であるといえる。