日照時間を用いた時間積算日射量推定モデルの開発

摘要

著者らは，太陽光発電システムの設計等に有用な日射関連データの整備を継続している．その一つであるMETPV-2 （MEteorological Test data for PhotoVoltaic systems：メットピィーヴィ，-2はバージョン番号を表す）は平均的な日射量等を収録した1年分の毎時気象データベースであり，太陽光発電システムの設計·評価等に多く利用されている．しかしながら，METPV-2の整備地点は気象官署の約150地点に限られていることから，データの参照地点がシステムの設置場所と離れている場合もあった．そこで，著者らは，全国のアメダス地点（約800地点）についても，METPV-2と同様なデータベースMETPV-3を整備することとした．整備地点が増加することで，太陽光発電システムの設計や評価等の精度向上に役立つと期待される．さて，METPVシリーズに収録する気象要素のうち，太陽光発電システムの設計等に最も重要な気象要素である全天日射量は66地点の気象官署で観測されているに過ぎない．そこで，著者らは，全ての気象官署で観測されている日照時間から時間積算日射量を推定するモデル（以後、日照·日射モデルと呼ぶ）を開発してMETPV-2を整備したが，このモデルには，不日照時において，やや，誤差が大きくなる傾向があった．そこで，今回のMETPV-3の整備時に日照·日射モデルの一部を改良したので本論文で併せて記載する．