膨張グラファイトとNa_2S水和物の複合化化学蓄熱材料の開発

摘要

本報告では，膨張グラファイトとNa_2S水和物の複合化蓄熱体の作製方法，水和·脱水反応の繰り返し特性に関して報告した．反応サイクル数は5回程度と少なく，蓄熱体単体の実験であるが，膨張グラファイトを用いる複合化により，材料の多孔性と柔軟性が反応に伴う体積変化を吸収し，蓄熱材料の微粉化と融解による繰り返し特性の課題を解決できる可能性を示すことができた．蓄熱密度は，0.2GJ／m~3程度と蓄熱材料(Na_2S·5H_2O）の蓄熱密度2.9GJ/m~3の1／10以下と低く，今後，蓄熱材料充填密度を増加させる検討が重要である．反応速度は，一辺37mmのブロック蓄熱体において90%の反応率変化が3h 程度で得られ，比較的速い性能が測定された．