強風被害にみる太陽電池発電設備の構造的弱点と耐風設計の要点

摘要

太陽光発電設備（PV設備）の強風，地震，積雪等の自然事象による架台や基礎の構造的な被害は後を絶たない．これらの被害の多くは，電気設備技術基準の解釈第46条第2項において設計荷重として示されているJIS C 8955で算出される荷重に達しない事象で発生しており，それらの支持物（架台や基礎）の強度は十分でなかったと言える．構造的被害の要因としては，設計の不備，施工不良，維持管理の緩怠が想定されるが，とりわけ設計の不備は，構造安全性の根幹を揺るがすことになり，その後の施工や維持管理を完全に行ったとしても，構造被害のリスクは残り続ける．つまり，構造設計を確実にすることが，その後の被害リスク低減に最も効果的である．本報では，強風被害の事例にみられる構造的弱点について考察したうえで，強風被害リスク低減のための耐風設計の要因について述べる．