投資誘致強化を目指す経済刺激策

摘要

2003年5月21日，政府は"Economic Stimulus Package"なる経済刺激策を発表した。 マレーシア経済の活性化にとって重要な柱であり経済成長の原動力となる海外からの直接投資の激減を受けて，通商産業省(MITI)·工業開発庁(MlDA)が中心となり策定されたものである。 現在マレーシアをはじめとする南アジア各国は，中国との投資誘致競争に苦戦を強いられており，何とか局面打開の糸口をつかもうとする政府の姿勢が，この経済刺激策の背景にあると想像される。 今回の措置は，民間投資の促進，国家競争力の強化，新たな成長資源の開拓，公共サービスの生産性の向上という四つの戦略を基礎として策定された。 経済刺激策の中から日系企業にとって最も関心の高いと思われる事項に関し，「投資政策の自由化」「各種優遇措置の拡大」「外国投資制限ガイドラインの緩和など非製造部門への優遇措置」の三つの観点から報告する。経済刺激策に関してジェトロ·クアラルンプール·センターは，MIDAを招請し，進出日系企業責任者を対象としてセミナーを実施した。 本リポートは，このセミナーでのMIDA高官の発言，その後発表された各種ガイドライン，さらにその後の調査結果を基に作成した。