産学連携成功の健を握る仲介機関：ブラウンホープァーとシュタインバイスの事例

摘要

第二期科学技術基本計画がスタートし，新聞でも各地の大学が設立したTLOの活躍が頻繁に紹介されている。 日本の産学連携もようやく動き出してきた。しかし特許化による技術移転に重点が置かれ，中堅·中小企業からすると依然として大学は遠い存在で協働者となりがたい感がある。 先端分野の最新成果の還元だけが産業界の望むところではない。 ドイツには企業にも大学にも属さず技術移転を担う機関が存在する。 フラウンホーファーとシュタインバイスである。 両組織は産学連携の中でも，①受託研究や共同研究による技術開発，②コンサルティングによる技術支援，③人材育成支援といった分野に注力している。 これらは日本ではまだ活発化していないが，企業の国際競争力を高めるのに重要なものである。 また，彼らは企業が何を欲しているかにも，常に高い関心を寄せている。 以下では，こうしたドイツの事例を取り上げながら日本の課題につき考えてみよう。