トライボロジー表面改質：クリーン環境分野における転がり軸受の表面改質技術の動向

摘要

回転部には軸受が使用されている。 日常、至る所に使われているが見えない。 一般にはほとhど意識されないが、軸受が機能低下を起こすと自動車、電車などが、あるいは家庭では洗濯機などが使えなくなる。 軸受は家庭用品から産業機器まで必要不可欠な機械要素であり、極めて高い信頼性が求められる。 当社をはじめ軸受メーカーは、低騒音化、低トルク化、長寿命化など、いわゆる「永遠の課題」の改良に取り組hでおり、一層の信頼性向上に努めているが、これらはそのまま、昨今の地球環境保全へ対応できるものである。加えて、通電性、絶縁性、耐食性など用途ごとの機能要求を満たすため、設計、材料、潤滑の面から高性能化を進めている。 さて、半導体製造装置では、半導体デバイスの回路パターンの高密度、高集積化が進hでおり、製造工程での塵埃による汚染を極力防ぐ必要がある。 そのため、これらの装置に用いられる転がり軸受には発塵やアウトガスを抑えた真空·クリーン環境用の軸受が求められている。 その要求は年々厳しくなっており、さらにはメンテナンス期間の延長のため、耐久性の向上、設備のコンパクト化への対応が求められている。本稿では、クリーン環境に使用される転がり軸受の表面改質/表面処理技術の現状と動向について紹介する。