粉体塗装工程の粉塵爆発防止技術

摘要

粉体塗料は，溶剤塗料に比較し，着火や，爆発事故が生じにくく安全である．しかし，粉体塗料は可燃性であり，正しく使用されなければ溶剤塗料と同様に火災や爆発の危険性がある．粉塵の爆発の危険性に関しては，一般的にガス·溶剤塗料ほど認識されていない．しかし，粉塵爆発が発生すると，一般的に同容積のガスに比較し質量が大きいため，破壊力が甚大で大きな損害と不幸な被害も報じられている．粉体塗装は耐候性，耐蝕性，意匠性に優れた地球環境負荷の少ない表面処理方法であり，これを安全に正しく扱う必要がある．粉体塗装機器の安全に関する規格は少ないが，米国においてはFM(Factory Mutual)規格，欧州においてCE マーキング（CEは欧州共同体の仏語Communaute Europeenneの頭文字）などがある．我が国においては産業安全研究所の静電気安全指針，中央労働防災協会の報告書が良い指針を与えてくれる．本稿では，これらの規格，文献を参考にし，粉体塗装工程における粉塵爆発防止技術について述べる．