量子効果を用いた通信·処理技術：量子計算機による情報処理

摘要

計算とは何だろうか？ 1936年にA.Turingは，この計算という概念を数学的に厳密に定義するために，Turing機械という計算モデルを提案した。 このturing機械は，計算の本質を見事に抽象化しており，実際，今日の計算機の理論モデルともなっている。 その後，1985年にD.Deutschが，量子力学に基づく新たな計算モデルとして量子Turing機械を提案したが，これが，昨今話題の量子計算機の理論モデルとなっている。 そして，1994年にP.W.Shorが，量子Turing機械上で，整数の因数分解を高い成功確率で行う多項式時間量子アルゴリズムを示したことで，量子計算研究が多くの研究者の注目を集めるようになった。 さらに，1996年にはL.K.Groverが，ある種の解探索問題に対する効率的量子アルゴリズムを提案した。これらの研究成果から，量子Turing機械は，通常のTuring機械よりも本質的に高速な計算モデルであると予想されている。