トルク計測機器の静校正における不確かさの実験的検証,第1報：繰り返し性,設置変更の再現性および零点誤差の検証

摘要

トルクメータ，トルクレンチ，トルクドライバ等のトルク計測機器は，輸送機器，工作機械，精密電子機器等各種回転駆動系を有するものから，ボルト，ナット，キャップの締結に至るまで，産業界で広く扱われる力学量計測機器の一つである．しかしわが国ではこれまで組立量としてのトルクに関して，その値の信頼性を保証するための技術基準の策定は行なわれてこなかった．近年になり，計測のトレーサビリティが多くのメーカ並びにユーザから強く求められるようになり，トルクに関しても技術基準となる規格の整備に向けての活動が活発になりつつある．産業技術総合研究所計量標準総合センターでは2001年度に，5N·m～1kN·mの範囲においてトルクの国家標準による供給を開始している．トルクのトレーサビリティを確立するための次の段階として，産業界で使用されるトルク計測機器の校正方法並びに校正の不確かさの評価法を確立することが急務となっている．