入力制約付き非線形システムに対する制御則設計

摘要

実際のシステムにおいては，アクチュエータの性能限界や制御対象保護のため入力制約が存在する．制約を考慮せずに制御則を設計した場合，性能が劣化したり，系が不安定化してしまう恐れがある．この間題は線形制御理論に対して近年盛hに研究されており，非線形システムに対しても制御Lyapunov関数を用いた手法が提案されている．入力制約の存在するシステムをこおいては，一般に安定化可能領域は全領域とはならない．そこで，本論文では，局所制御Lyapunov関数を用いて，ある等高線の内側で漸近安定化可能領域が保証されることを示し，漸近安定化可能領域で原点を漸近安定化する制御則を提案する．過去の制御Lyapunov関数を用いた研究では，Sontagが入力制約がない場合の普遍制御則を提案した．k-ノルムが1より小さくなるようなベクトル空間U{sub}kをMinkowski ballというが，LinらはSontagの普遍制御則を拡張して，入力がMinkowski ball U{sub}2に制限されているときの普遍制御則を示した．さらに，Malisoffらはこれを1＜k≤2の場合に拡張した．しかし，これまでにk＝1あるいはk＞2の場合は検討されていない．そこで，本論文では，任意の定数k≥1に対して適用できる制御則を与えることを目的とする．