亜鉛の耐食性

摘要

亜鉛は中国の昔の言葉で倭鉛と呼ばれ，その性質が倭人のように激しい鉛という意味だそうである。このような活性な亜鉛の最大の用途が鋼に対する防食めっきであり，亜鉛の腐食特性は鋼との関連で論じられることが多い。しかし，亜鉛めっきの第一の意義は，亜鉛を用いることが有効な環境では鋼より亜鉛の方が腐食速度が小さくなるという点にある。腐食性あるいは耐食性という性質は金属固有の属性ではなく，その金属を使用する環境との相互作用の結果として決まる。一般に，亜鉛めっき鋼板あるいは鋼材ま主に我々の棲息環境で使われるので，亜鉛の腐食特性を考察する上では，まず棲息環境の基盤である“酸素を溶存した水”という環境における金属亜鉛の化学反応性を理解する必要がある。