岩手県におけるリンゴ黒星病の発生と 開花前の早期感染の関係

摘要

2016-2018年にリンゴ黒星病が発生した岩手県北部において，DMI剤の開花直前散布が適期に実施さ れていたか検証するため，各種DMI剤の治療効果を評価するとともに，過去10力年（2009-2018年） における開花期前後の感染日についてアメダス観測値を用いて推定した.供試したDMI剤は，接種後処 理日数が長くなるほど治療病斑形成葉率が高くなり，接種5日後処理では数種のDMI剤では発病がみられ た.岩手県北部では開花期前後の感染日は8力年で認められ，本病が未発生の4力年（2010-2012年， 2014年）は開花2日前であったのに対して，発生3力年（2016-2018年）は開花7日前，発生前年（2015 年）は開花8日前であった.以上から，2015-2018年は毎年，一次感染の早期化によってDMI剤による 防除適期を逃していたと推論された.