電磁操作方式真空遮断器のCBM技術

摘要

受配電システムにおける安定な電力の供給のためには，システムの故障を未然に防ぐためのメンテナンス作業が欠かせない。 従来，一般に行われている保全方式は，消耗部品の交換，故障発生リスクの高い部位の点検を定期的に実施するもので，時間基準保全(Time-Based Maintenance: TBM)と呼ばれる。 一方，状態基準保全(Condition-Based Maintenance: CBM)と呼ばれる手法は，機器の状態を監視して，必要な時点において必要なメンテナンスを実行する方法である。 CBMを実現するためには，機器の状態を監視するためのモニタシステムが不可欠となる。 そこで，近年市場に登場し始めた電磁操作方式真空遮断器の特徴に着目し，遮断器の駆動部分へのポジションセンサなどの監視装置の設置を必要としないCBM装置の開発を行った。 このCBM装置は，電磁アクチュエータのコイルに流れる電流と電圧を取得することによって遮断器の駆動機構部の経年劣化を表す状態量（接点損耗量，摩擦力，コンデンサ容量など）を監視することが特長である。 電流·電圧波形と機器劣化状態の関係の評価には電磁界と運動の連成解析技術を用いた解析手法を用い，試験結果と良い一致が得られることを確認した。 さらに，この手法を用いて，コイル電流波形から駆動機構の状態量を高い精度で推定する手法を確立し，低コスト，高精度のCBM装置を開発した。