昇降機のパワーデバイス応用技術

摘要

従来のエレベーターは，昇降路直上部にエレベーターの機械室が不可欠であり，日影規制，北側斜線等の建物の高さ制限に対応した建築設計が必要となっていた。 三菱電機では，1998年に自由な建築設計ができるように昇降路内にすべての機器を収納·設置し，昇降路の平面及びオーバーヘッド寸法を最小化した機械室レスエレベーターを開発し製品化した。 機械室レスエレベーターでは，すべての機器を昇降路に収納するため，制御盤では静かで冷却効率の良いインバータを開発し，小型化と薄形化を実現した。 また，機械室を持つ高速エレベーターでも機械室の設置面積の最小化を求められ，インバータの冷却構造と短絡検知方式の見直しにより薄形化した制御盤と薄形巻上機の最適配置による機械室の設置面積の省スペース化を実現した。 一方，エレベーターの利用者側の要求としては，待ち時間と乗車時間の短縮が上位に挙げられる。当社では，この要求にこたえるため，かご内の乗客人数（積載量）に応じて駆動機器の能力を最大限に活用し，低速エレベーターでは走行速度を可変として定格速度以上の速度で走行する“可変速エレベーターシステム”を開発し，高速エレベーターでは加減速度を可変とした“モータドライブミックス”を開発した。