カラーマネジメント技術の現状と将来

摘要

近年，様々なカラーディスプレイが実用化されているが，これらのディスプレイにおける色再現は，現状では必ずしも十分でない場合が多く，色再現の向上が望まれる。 三菱電機では，各種ディスプレイにおける色再現の不具合に対し，カラーマネジメント技術に基づいた画像処理技術により，その改善に取り組hでいる。 特に独自の色変換技術であるナチュラルカラーマトリックス（Natural Color Matrix：NCM）を開発し，ハードウェア化して搭載することにより，カラーディスプレイにおける色再現の改善を行っている。 この結果，標準色空間sRGBへの対応を，液晶プロジェクタ，LCD(Liquid Crystal Display)モニタに関して世界で初めて実現した。 国際標準であるsRGBへの対応は，電子商取引や教育分野などの忠実な色再現が求められる用途において非常に有用である。 また，NCMは，記憶色の再現に対しても効力を発揮する方式であり，家庭におけるテレビや映画の観賞などの好ましい色再現が望まれる用途においても非常に有用である。 NCMは，上述の液晶プロジェクタ，液晶ディスプレイのほか，LED(Light Emitting Diode)タイプの大型ディスプレイや携帯電話等にも搭載され，その色再現の向上に活用されている。 さらに将来，SRGBよりも広い範囲の色を扱うことが可能な拡張色空間が国際標準として規定されることが予想される。 今後，拡張色空間に対応した色変換技術などの表示技術開発を行う予定である。