高速電力線通信ネットワークマネジメントシステム

摘要

電力線を通信線として利用するアクセス系の高速の電力線通信(Power Line Communication: PLC)ネットワークシステムにおいて，PLC装置の初期設定·保守運用，及び装置監視·通信路状態監視を行うネットワークマネジメントシステム(Network Element Operation System: NE- OpS)について紹介する。 アクセス系高速PLCネットワークは，既存の低圧(Low Voltage: LV)·中圧(Medium Voltage: MV)電力線を用いてアクセス綱を提供し，ユーザーのパソコンやアナログ電話を収容してバックボーンネットワーク経由でISP (Internet Service Provider)や公衆電話網(Public Switched Telephone Networks: PSTN)に接続するサービスを提供する。 高速PLC装置は，電力線を使用するという性格上，変電所内やメータボックス等で既存電力線へ接続するため，電力会社による電力設備担当者により設置工事が実施される。 このときのPLC装置のネットワーク設定は現場では困難であり，ネットワーク管理センターからのリモート設定·管理が不可欠である。 さらに，数量が多いため，設置の容易化·設定作業の効率化が求められている。また，高速PLC独特の物理伝送特性の変動監視や，電力系統での負荷切換えに対するネットワーク再構成への対応，高速PLC装置自体による自動設定機能（プラグアンドプレイ）も不可欠である。 これらの要求にこたえるため，高速PLC機器を管理するアクセス系高速PLCネットワークマネジメントシステム（NE-OpSサーバ）を開発した。 本稿では，物理速度45M bpsを実現する高速PLC装置"PLC-AMシリーズ"用NE-OpSサーバの各種機能と，新機種である物理速度200 Mbpsを実現する高速PLC装置"PLC-AWシリーズ"に対応したNE-OpSについて紹介する。 三菱電機は，NE-OpSを開発することより，高速PLC装置の供給だけにとどまらず，高速PLCネットワーク設計から客先での工事·保守·運用管理作業まで含めたトータルネットワークシステムを提供していく。