放電加工を用いた穴内面に対する穴創成法の開発

摘要

機械設計者は，製作対象物が要求された機能や性能を発現するように，製作対象物の材質，寸法や形状とそれらの精度および表面の粗さや性状といった表面品質などを決定する．ただし，ここで決定する寸法や形状とその加工精度および表面品質は実用化されている機械加工法の能力の限界を越えてはならない．なぜなら，これを越えた内容が記載された設計図は「絵に描いた餅」そのものといえるからである．このことは機械設計の基本であるが，同時に機械加工法の能力限界が機械設計者の自由な発想を阻害しているとも表現できる．このような問題を根本的に解決するためには，機械加工法の能力限界を打破すればよい．そこで，著者は除去加工法により形成できる穴形状の限界の打破を研究開発の目的とした．そのためには，除去加工法で形成可能な穴形状の限界を明白にしなければならないが，その限界を機械設計や機械加工を専門とする研究者や技術者が除去加工法を用いて形成できる穴形状として反射的に発想する形状とした．