2007年宇和海下波湾における有害渦鞭毛藻Karenia m/toVnoto/赤潮の底入り潮の発生による消滅

摘要

宇和海は豊後水道の東側に位置し，複雑に入り組hだ海岸線は多くの内湾を形成している（Fig.1).宇和海の中央部に位liTTる下波湾は湾口幅1.8km程度，奥行き2.8km程度 の内湾で，海岸線付近は渚をもたず急峻であり，湾奧付近 の水深は30m程度，湾中央部から湾口にかけては50-60m， 湾外は70in程度である(Fig. Ic).湾外の流れは潮流の強 ぃ豊後水道中央付近に近づくため湾内より強く ，三浦半島 先端付近や島周辺（Fig.Icの矢印の周辺）では下げ潮時に 小規模渦が形成され，水平シァゃ渦による湧昇あるいは鉛 直混合が生じる（西村'武岡，1999).また，これまでの 研究によって宇和海の内湾の流れは通常弱く，外洋系水の 進入現象である急潮と底入り潮が発生した際に一時的に強 くなることが明らかにされている（たとえば，Takeokaand Yoshimura, 1988;速水ほか，2006).ここで急潮とは上層 で発生する黒潮域由来の暖水の進入現象である（武岡ほか， 1992).