ネコの扁平上皮癌におけるパピローマウィルスの解析

摘要

パピローマウィルス（PV)はヒトを始めとするさまざまな動物の表皮や粘膜上皮に感染し，乳頭腫や扁平上皮癌といった上皮性腫瘍を引き起こす。PVはエンベロープを持たない小型のウィルスで，宿主特異性が高く，各動物に独特のPVが存在する。ゲノムは約8kbの2本鎖環状 DNAから成り，ゲノム複製や細胞の癌化に関与する非構 造タンパク質をコードする初期遺伝子（E1-E8)と，カブ シドを構成する構造タンパク質をコードする後期遺伝子 (L1-L2)を持つ。PVは培養が困難で血清型による分類は なされず，主要カプシドタンパク質であるL1の遺伝子相 同性に基づいたウィルス分類がなされる。ヒトではPVの 型と腫瘍原性や疾病との関係解析が進hでいるが，動物の PVについては，未解明な点が多い。