世界農業遺産とFAOの取り組み: 第4回(最終回）認定地の事例とGIAHSのこれから

摘要

驚異の干拓農地一一メキシコの「チナンパ」:今年2月に行,われたGIAHS科学委員会では、メキシコ が提案した'「チナンパ」と呼ばれる農業システムの審査 が行われ、条件付きでGIAHSとして認定することが合,意されました（r条件」とは、提案書が科学委員会の指示通り に適切に改訂されるというもので、現在、メキシコが改定作業を行 ゥているとcろです)。メキシコの首都メキシコ巿は、広大な 市街地；^広がる世界有数の大都市ですが、もともとは、 その大部分が周囲を火山で囲まれた湖でした。16世紀 まで続いたァステ力文明の先住民により、湖の干拓が進められ、現在の大都市の礎を築いたのです。干拓に当 たっては、まず湖に浮草のようなものを浮かべ、木枠で それを囲い、その上に有機物や湖の泥を乗せ、時間を かけてこれらを沈殿させるという作業を繰り返し行い、後 にチナンパと呼ばれる農地を造成していきました。