太陽光利用型植物工場における環境制御システムの展望--情報化による持続的精密施設植物生産の達成--

摘要

1970年代の半ばから日本で使われるようになった『植物工場』1，2）というキーワードは、1985年につくばで開催された科学万博の植物工場の展示によって、いつでも、どこでも、好きなだけ植物が生産できる夢の技術として周知されるに至った。『植物工場は施設園芸か否か』という議論もあっが）。それから四半世紀が過ぎようとしている今、両者はその接点を求めて模索を続けている。狭義の植物工場である人工光のみを使用する完全制御型植物工場から、太陽光利用型（無補光型あるいは併用型）植物工場へ、植物工場の検討範囲は再び広がりを見せている。一方で、周年連続生産、機械化自動化、高度な環境制御など、ハウスや温室による植物施設生産の高度化は、低コスト植物工場としてその検討範囲をオーバーラップさせつつある。