心を物理で記述する

摘要

心理物理学，という不思議な名前の分野がある.我々 の感覚,知覚世界を形成する場を脳と呼ぶか，心と呼ぶ か議論のあるところだ力5-ここでは心としょう.心理物 理は読hで字のごとく，心の状態を物理量で記述する学 問で，実験心理学にあたる.ある物理量を持つ入力に対 して，出力としてどのような心的状態が立ち現れるのか， その法則性について，たとえば横軸が物理量で縦軸が主 観量のグラフによって書き表す.身近な例として視力検 査をイメージしてほしい.ランドルト環の直径を横軸， 環の開いている方位を正答できる確率を縦軸に取ると， 視距離'明るさなどを一定に保てば単調増加のグラフが 書けると予想されるだろう.このように，心理物理では 入力を変えながら出力の変化を見ていくことで，心の生 成機序（言い換えるならば脳内の処理回路）を調べて いぐ