淡色黒ボク土畑ホウレンソウ作における根圏土壌の養分動態

摘要

本研究では，主として淡色黒ボク土圃場で栽培されたホウレンソウの根周辺土壌を根圏，根群域，根群域外土壌に分画し，それぞれの養分動態を把握するとともに，各画分の土壌養分含量と作物の生育、栄養状態との関連を解明した．1）生育中期における根周辺土壌の硝酸態窒素含量は概して根圏≧根群域＞根群域外であり，この傾向に土壌型による違いほなかった．2）根周辺土壌のトルオーグリン酸含量ほ淡色黒ボク土価の場合，生育中期，収穫期ともに根圏＞根群域≧根群域外であったのに対し，赤黄色土，褐色低地土畑でほ根圏，根群域，根群域外の土壌画分間に大差は認められなかった．また，淡色黒ボク土の根圏土壌でほ，根群域，根群域外土壌に比べてトルオーグリン酸のみならず，全リソ酸合量が高く，形態別でほアルミニウム型リソ酸が高かつた．3）根周辺土壌の水溶性塩基含量ほ根群域，根群域外土壌よりも概ね根圏土壌で高かった．4）生育中期および収穫期のホウレンソウの硝酸態窒素含有率および収量は，ホウレンソウ生育中期での根圏と根群域土壌の硝酸態窒素含量に依存していることが認められた．5）ホウレンソウ生育中期，収穫期ともに，根圏と根群域土壌のトルオーグリン酸含量とホウレンソウの収量並びにリソ酸含有率との間には密接な関係が認めらされた．