テンサイの力リウム施肥，リン酸施肥及び栽植密度の変動が 収量、品質に及ぼす影響と土壌分析値との関連について

摘要

1990年に北海道十勝地方の31圃場において力リウム-リン酸施肥，栽植密度試験を実施した.これら3試験は同 一圃場内に併設設置され，いずれも1区面積15m，で無反 復ランダム配置のプロット試験で，力リゥム施肥試験は 0から249kg-Kha_1 (300kg-K2Oha一1)間の7水準，リン 酸施肥試験は0から273kg-Pha—1(625kg-P205ha一1)間の 6水準，栽植密度試験は50,000本ha_1から90,000本ha一1 間の7水準である.これら施肥ゃ栽植密度の変動がテンサ ィの収量、品質に及ぼす増減効果を数値化するために，圃場別にカリウム施肥量，リン酸施肥量，栽植密度をそれぞれパラメーター(x)，各テンサイ形質を目的変数(y)とし て直線回帰係数を算出した.さらにこれら回帰係数と土壌 分析値の相関を求め，圃場による変動の違いと土壌分析値 の関連を検討した.根重及び糖量では力リゥム及びリン施 肥の回帰係数といくつかの土壌分析項目で有意な相関が認 められ，これら有意な相関全てで正負が逆転していた.ま た力リウム及びリン酸施肥回帰係数相互間に有意な負相関 関係が見いだされた.そこで「A群：力リウム施肥効果が 高くリン酸施肥効果の低い圃場」「B群：力リウム施肥効 果は低いが，リン酸施肥効果の高い圃場」「C群：力リウ ム施肥，リン酸施肥共に効果の高い圃場」の3群の存在が 考えられた.カリウムおよびリン酸施肥の糖量回帰係数を 特性値として階層型クラスタ一分析を実施した.さらに圃 場がいずれの施肥反応群に属するかを土壊分析値を用いて 予測する手法の検討を行ない，正準判別で土壌分析値より A 、 B 、 C各群の判別を行い，グラフ上に糖量の力リウム およびリン酸施肥効果推定値をプロットするEXCELプロ トタイプシートを作成した.本モデルはテンサイの圃場試 験から導き出された圃場判別モデルであるが，他作物も含 め圃場の力リウム、リン酸肥効特性を推測する上で一助に なるものと考えられた.