学習指導要領の次期改訂に向けた「土壌教育に関する要望書」の 文部科学省への提出の背景と経緯

摘要

土に対する初等中等教育段階における教育について検討するために，1982年に土壌教育強化委員会が設立された. その委員会において，全H小学校270校，中学校170校 へのアンケート調査が実施され，その調査結果が1983 年の土壌肥料学雑誌に掲載された（土壌教育強化委員会， 1983).その結果，土は，作物や草花の育つところとして の土の役割に関する認識は高いものの，「国民食糧生産上大 切なもの（中学生)」が20 %以下であり，「全く関心がない」 が小学生22 %であつたが，中学生になると12.4 %に増 加することなど，多くの示唆に富む結果が報告された.こ のアンケート調査に基づいて，初等中等教育段階における 土壤教育の活動指針が策定された（木内，1984).その基 本方針として，初中等教育において土壌に関する教育を強 化するには，「土壌を人類生存の基盤」とする見地に立った 教育の必要性が指摘された.この理念の実現に必要な取り 組みとして，1)小'中学校教員の土壌に関する知識の向 上，2)博物館等における土壌標本の展示，3)自然観察 会などにおける土壌解説の導入，4)小'中学校における 土壌教育の実態と教員の意識調査，5)理科，社会科，家 庭,技術科の内容の検討，6)文部省，教科書出版社への 意見の申し入れの6項Hが挙げられた.