霞ヶ浦（西浦、北浦）における皿形c和りざぬ属の形態種組成と栄養塩濃度の関係

摘要

Microcystis属によるブルームは，景観上の悪影響だけでなく，カビ臭物質の生産による悪臭や様々な利水障害を引き起こす。 さらに，Microcystis属の一部は藍藻毒素microcystinを生産し，直接細胞を摂食する動物プランクトン，無脊椎動物及び魚類に被害を与えるだけでなく，細胞外に放出された場合，水生植物や藻類の生長にも影響を及ぼす。 Microcystis属の増殖とmicrocystin産生量は光，水温，栄養塩濃度及び微量元素といった様々な物理化学的要因によって複合的な影響を受ける。 その上，Microcystis属はmicrocystin産生能を有する有毒タイプと有しない無毒タイプが混在してブルームを形成するため，細胞密度とmicrocystin濃度の間には単純な比例関係は認められない。 そのため，Microcystis属のブルームのmicrocystin含有量の変動を理解するためには，有毒タイプと無毒タイプの組成を考慮する必要がある。