ミ二シンポジウム記録宮古湾をモデルとした資源の増殖と管理の試み - 栽培漁業の基礎研究から効果の実証まで - 二シン：種苗放流の考え方 - 生態的知見を基礎とした資源増殖の試み

摘要

太平洋二シンClupea pallasiiは，日本沿岸では主に北 海道と本州の北部太平洋側に分布する重要な漁業対象種 である。かって北海道に100万トンもの豊漁をもたら した二シンはオホーツク海を大回遊する広域群であったが，現在ではこの資源が衰退したため，近年の日本沿岸 で漁獲される二シンは，地域群と呼ばれる回遊範囲の狭 い個体群にほぼ限られている。地域群の漁獲量は，非常 に少ない状態から数百トンの水準まで数年で増加するこ とがある反面，減少も急激であり，場合によっては消滅 する場合さえある。このような減少.低位状態にある地 域群を，種苗放流によって増加させるのがニシン栽培漁 業の目的である。