シオミズツボワムシBrachionus plicatilisの親世代の餌料環境が次世代以降の生活史特性に与える影響

摘要

汽水産ツボワムシ額のシオミズツボワムシBrachionus Plicatilii sp．complex（以下ワムシ）ほ，遺伝子レベルで9種またほ14種以上に分類される複合種で，水産分野では，海産魚類の種苗生産用の初期餌料として不可欠な存在である。近年のワムシ培養技術ほ，民間ベースで量産可能な培養用飼料として，1980年代後半に開発された濃縮淡水クロレラと，培養槽内の諸々の環境因子，すなわち培養水中のアンモニア態窒素の影響，共存する細菌、原生動物の作用や，培養槽内生態系の動態とワムシ個体群のエネルギー収支などの研究によって，高品質なワムシが長期にわたり生産できる連続培養技術が開発され　従来に比べ大幅に発展した。しかしながら，大量培養過程で起こる増殖不良やワ　ムシ密度の急減などの問題は未だに解決していない。