一日本で使用されている動物用ワクチン（XVI)—鶏用ワクチンの概説5鶏貧血ウィルス感染症ワクチン（生ワクチン)

摘要

鶏貧血ウィルス（CAV)は，1979年に日本で初めて 分離されたウィルス[1]で，鶏ひなの骨髄造血系細胞 に感染し，造血組織の機能障害を引き起こすことによつ て強い貧血（再生不良性貧血）を起こす.CAVはサー コウィルス科に属する小型環状一本鎖DNAウィルス で，熱や薬剤などに対して強い抵抗性を示し，血清学的 にも単一であること力?知られている. CAVは世界的にも鶏群内に広く浸潤しており，あら ゆる日齢の鶏に感染するが，感染しても2週齢以上の鶏 では発症することは少なく，ほとhどの鶏は不顕性感染 である[2].種鶏が産卵開始後に初感染すると，ウィル スが介卵感染し，孵化したひなは4週齢以内に発症し て，死亡することもある.発症したひなは食欲及び元気 を消失してうずくまり，皮膚，筋肉あるいは全身臓器は 貧血のために白っぽくなる[2].また，感染鵄との接触 により水平感染も起こる力2週齢鶏以降における水平 感染は不顕性に終わること力多い.